こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

先日、こちらのブログで労務トラブルの解決にあたり、
労働者側の問題点に絞って検討してみたところ
多くの反響をいただきました。

相談を受ける中で相談者(労働者)が「とても困っている」のは
わかるのですが、肝心な「どうしたいか?」という点については、
意外に整理されておらず、アドバイスがしづらいことがあると
書きました。

 

それに対して会社側はどうかというと、
「トラブルメーカーな社員をクビにしたい!」
「成績の悪い社員の給料を減らしたい!」…というように
「どうしたいか?」という点についてははっきりしているものです。
(法的に通るかは別の話ですが)

ただ、問題なのは、会社側(経営者)は、
「せっかちで」、「忙しくて」、「誤解(曲解?)しがち」
なところでしょうか。

今回は日頃の労務相談などを通して専田が感じる会社側の
この3つの問題点について、能力不足の社員を巡る解雇を
例に考えてみたいと思います。

 

まずは、「せっかち」について。
トラブルの端緒としては、「もうダメ!指導も限界。今月
いっぱいでクビにしたいのだけど、問題ありませんよね?」
という感じでいきなり会社側がキレる、音を上げたような
ケース。

能力不足だけでなくトラブルメーカー的な社員の解雇でも
ある話ですが、「出来の悪い社員がいて困っている」
事前にグチでもこぼして貰えればまだしも、こうした相談は
結構いきなり来ることが多いのです。

そして、それまでその社員にどのような指導をしてきたのか
を聞くと、急に尻すぼみになり「いつ、どのように」
といった具体的な話が聞けることはあまりありません。

注意指導をしていたとしても口頭によるものがほとんどで
書面で残すどころか記録も記憶もあやふやなことが多いと
思います。

 

指導も限界!

指導も限界!

もちろんそんなあやふやな状態で解雇を強行すれば法的には
かなりのハイリスクです。このご時世、そのあたりの事情は
会社側もわかっているでしょう。では、なぜきちんとした記録
を取らないのかというと、次の「忙しくて」につながります。

 

ただ、「忙しくてとてもそんな時間はなかった」といっても
単に忙しかっただけではなく、背景はもっと複雑なようです。

相談の中からは、指導する側(上席者・管理職)が
「仕事の仕方は教わったが、仕事の教え方は教わっていない」
というジレンマのようなものを感じます。この場合、仕事は
そのまま「教育指導」に置き換えられます。

「仕事は教わるもんじゃねぇ、盗むモンだ…」という職人的な
思想はかつては美徳とさえ見られたものですが、現在でも
そのまま通用するかというとかなり微妙です。

そして、こうした職人的思想に影響を受けたベテランクラスが
管理、教育指導をする側に回り、必ずしもそうした考えを持たない
指導される側(若手クラス等)との間でギャップが生じ、こうした
問題につながっているのではないかと感じます。

 

最後に「誤解(曲解)」という点ですが、これは法律や就業規則
などを自分の都合にいいように一足飛びに解釈しているところです。
(会社側に限った話ではありませんが))

どういうことでしょうか?
労働基準法で定める解雇予告とその例外を例に考えると
会社側の「誤解(曲解)」は次のようになります。

 

・労基法では、労働者の解雇にあたり会社側に30日以上前の
予告か30日分以上の平均賃金の支払いを義務づけている
(第20条)

⇒ただし、「試の使用期間の者」については、例外としてこの規定は
適用されない(第21条)

⇒よって試の使用期間(採用14日以内)なら会社は労働者を
 自由に解雇することができる(結論)

 

…というような感じですが、そんな自由に解雇ができるわけでは
ありません。解雇に当たっては「合理的な理由」が必要です。
(労働契約法第16条)

「試の使用期間」については、解雇予告・手当が不要と
いうだけで、会社の好き勝手に解雇できるというわけでは
ないのです。

解雇予告の例に限らず、「誤解」の点ではこうした誤解・曲解により
『重要なポイント』がすっぽりと抜け落ちていたりするので、
トラブルになりそうだと感じた時点で法律や就業規則を改めて
確認する必要があると思います。

 

トラブルの解決にあたっては、「落としどころ」が重要です。
この落としどころに向けてどのように話合い、歩み寄るかを
意識することが「計画性」になります。

この「計画性」を会社側から考えるとき、まずは、教育指導の
方法やあり方、そして、法律をはじめとするルールを正しく
理解するところから考えてみる必要があると思うのです。

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