こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

仕事中のケガは「労災(労働災害)」
通勤中のケガは「通災(通勤災害)」

 

労働者災害補償保険(通称:労災保険)の補償対象は広範で
手続も多岐にわたるため、難解なところがありますが、この程度は
普通に働く人なら常識であると思います。

正確には、ケガだけでなく、仕事・通勤が原因の病気も
補償の対象となります。ただ、仕事中のケガであれば、
よほどのことがない限り”労災”と認められるものですが、
病気となるとちょっと微妙なところもあるものです。

 

さて、そんな労災保険
社員が休業補償などの労災保険の給付を請求するためには
請求書に事業主が署名し、所轄の労働基準監督署に提出
する必要があります。

この署名を「事業主証明」といいますが、これを巡って企業担当者から、
「こんなケガや病気が労災なんて納得できないが、どうしたらよいか?」
「証明を拒否してもよいか?」
というような相談を受けることがあります。

 

よく話を聞いてみると、
「お前、それおかしいだろ?」という純粋に不適切な請求を
咎めるようなものもありますが…
「証明したら会社が労災の責任を認めたことになる!」
「労災認定されたら損害賠償も請求されるかも…」
という会社の懸念も見え隠れしています。

しかし、労災かどうかは、労働基準監督署長が調査を
行った上で判断することであり、事業主証明の有無が
判断に影響することはありません。

 

仕事中のケガですとも!

仕事中のケガですとも!

 

そうはいっても発生状況のはっきりしないケガや、複合的な
要素が関係するうつ病といったメンタルヘルス、原因が判別
しづらい腰痛などで労災申請を社員から強く求められたら
会社としても不安に感じるのは当然です。

もちろん、会社が責任回避をするための「労災隠し」のような
ことはあってはなりませんが、確かに受ける相談の中には、
社会保険労務士として疑問に感じてしまう事例も全くない
わけではありません。

 

では、具体的に会社として、こうしたケースでどのように対応
したらよいのでしょうか。

法律では、会社には労働者の労災保険給付の請求に関する
事業主証明や手続の助力が義務づけられていますが、※1
保険給付の請求に関する意見を述べることができます。※2

イレギュラーな話ですが、会社としてどうしても証明を行うことに
納得がいかない場合の対応方法として、この意見の申出
行うことが考えられます。

 

実際には、次の3つがその方法として挙げられるでしょう。

(1)会社が事業主証明をしたくない、できない理由を
  記載した書面を社員に手交する
(社員はその書面をもって自身で監督署に請求する)

(2)口頭で証明できない旨と監督署からの照会、調査には
  応じる旨を社員に伝える

(3)会社が保険給付の請求書に「但し書」を加える形で
  請求書に証明を行い監督署へ提出する

最後の(3)については、災害の発生原因や状況に関する記入欄に
「~社員の主張に基づき記入したものであるが、会社として
事実認定したものではない、会社の見解は
異なる~」
といった但し書を加えるというものです。

 

ポイントを整理すると、いずれの場合であっても、

・社員の主張をよく聞き、会社の見解も明確に伝えること

・労働基準監督署からの照会、調査にはきちんと応じること
また、その旨を社員にきちんと伝えること

・証明しない場合や請求書に但し書を加えて提出する場合は、
 そのことをきちんと社員に伝えること

…の以上3点になるかと思います。

 

労働者保護の根幹をなす重要な制度である労災保険、
実際問題として何とも悩ましい事例が出てくるのも事実だと
思います。

以上、企業担当者の皆様の参考としていただければ幸いです。
なお、今回の記事のような内容で少しでも疑問がありましたら、
専門家や所轄の労働基準監督署にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

※1:事業主証明、手続助力の義務
労災保険法施行規則第12条、同23条他
※2:事業主の意見具申
労災保険法施行規則第23条の2

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