こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

先週に続いて、また、日本に大型台風(19号)が
接近しています。

せっかくの秋の連休も何だか興ざめ。
専田の周りでも「いやぁ、ちょっと出かけようかと
思ったけど台風来るらしいから止めたよ。」という
話がちらほらと…

”連休台無し”も困りますが、それ以上に今回は
列島縦断コースで大きな被害が懸念されています。
備えだけはしっかりとしておきたいものです。

また台風がやって来ます…

また台風がやって来ます…

 

さて、前回のブログで社労士として、
「台風が来ると増える質問・相談」の一例として
「労働災害・通勤災害」の話をしましたが、これ以外に
もう一つ必ず聞かれる質問があります。

それは、何かというと、
「台風で会社が休業したときの賃金・休業手当」
の取扱についてです。

 

近年、大型台風や爆弾低気圧、ゲリラ豪雨などの
異常気象の多発を受け、企業でも影響が懸念される
段階で営業を見合わせたり、営業時間を短縮するなど
早めの対応を取る例が増えてきています。

こうした対応自体はよいことですが、
”営業を見合わせた、短縮した”場合の賃金はどうなるの?
という問題も同時に生じます。

具体的には、
そんなときでも賃金は100%支払わないといけないのか?
または、労働基準法にある休業手当を支払わないといけないのか?

ということです。

結論からいえば、
『台風などの不可抗力の天災により休業した場合、満額の賃金は
もとより労基法で定める休業手当
の支払いは必要ない』
・・・と解されています。

以下、詳しくみてみたいと思います。

 

この問題、法的には民法と労働基準法の規定がポイント
となります。

まず、民法の規定を見てみましょう。
民法536条2項(債務者の危険負担等)では、
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行
することができなくなったときは、債務者は、反対給付を
受ける権利を失わない。」と定められています。

わかりやすくいうと、「会社サイドの責任で働けなかった
場合は、賃金を請求できますよ」ということです。
イメージとしては、旅館やホテルのキャンセル料と
いったところでしょうか。

ノーワーク・ノーペイの原則により、
「働かなかったらその分の給与はゼロ」となるのが
普通ですが、休業の原因が会社にあるような場合は、
労働者は「全額」を請求しうるということです。

次に労働基準法の規定をみてみましょう。
労働基準法第26条(休業手当)では、
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、
使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の
100分の60以上の手当を支払わなければならない。」
と定められています。

 

民法と労働基準法の違い。
それは、「額」の違いもありますが、
「債権者(会社)の責に帰すべき事由」の範囲をどこまで認めるか?
という点です。

民法の規定は、広く取引における一般原則である過失
責任を中心に考えられているのに対して、労働基準法の
規定は労働者の生活保護を中心に考えられた罰則付きの
強行規定です。

労働者は労働の対価としてもらえる「賃金」で生計を
立てているわけですから、民法で定める「取引」に
関する原則よりも手厚く保護するという趣旨です。

 

労働基準法の「使用者の責に帰すべき事由」に該当する
事例として次のような項目が行政通達により挙げられて
います。

・機械の検査
・原料の不足
・流通機構の不円滑による資材入手難、
・監督官庁の勧告による操業停止
・親会社の経営難のための資金・資材獲得困難
(昭23.6.11基収1998号)

このように労働基準法で定める使用者の責に帰すべき
事由は、事業の外部的要因で広く経営管理上の障害を
含むものでかなり広く判断されます。

しかし、避けることのできない天災までも対象とするもの
ではありません。

台風による影響で休業した場合、一般的にそれは天災に
よる不可抗力であると考えられ、使用者の責に帰すべき
事由には該当せず、経営上の責任ともいえないことから
休業手当支払いの義務はないものと解されます。

 

ですから、公共交通機関が台風の影響で運休し、全日
休業した場合は、休業手当支払いの必要はないでしょう。

ただ、次のような場合は注意が必要です。

・交通機関の運休で社員の通勤に支障が出ると困るので、
 営業時間を短縮する場合

・飲食店などで「客も来ないだろうから、今日はもう閉めよう」
 として、営業を短縮する場合

このような場合は、台風という外部的な要因はあるのですが、
必ずしも業務の遂行には影響があるとはいえないことから
不可抗力的な休業とはみなされず、休業手当の支払いが
必要になる
可能性があります。

こうした点でトラブルにならないためにも会社として考えられる
事例を下に天災時の賃金、労働時間などの取扱いについて、
あらかじめ社内に周知しておくとよいでしょう。

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