こんにちは。管理部支援.comの専田です。

様々な業界で人手不足が伝えられていますね。
私のところにも、「誰かいい人がいたら紹介してくれないか?」
などと本業以外の相談が寄せられることがあります。(笑)

求人が増えてきたのはいいことだと思いますが、人手不足に
悩む企業はそんな悠長なことはいっていられません。

人材確保が最優先という会社は少なくないと思いますが、
今回はそんな会社で見られるトラブルについて考えて
みたいと思います。

 

とある会社での採用面接のワンシーン。

人手不足のこの会社、面接官は履歴書を一瞥するとやおら
切り出します。

「いつから働ける?こっちは今すぐにでも頼みたいんだよ!」
「えっ?いや、来週からお願いできればと…」
「来週?今からちょっとだけどう?ダメ?じゃあ明日は?」
急な展開に戸惑う求職者を前に面接官は畳みかけるように
一刻も早い入社を迫ります。

「…では、明日からお願いします。」
「よし!決まりだね。じゃあ明日朝9時に来てください。」
「はっ、はい。では、よろしくお願いします。」

・・・

「…そういえば、(労働)条件って基本給くらいしか聞いてないなぁ…。
まぁ、いいか、後で説明してくれるだろう…。」

 

「今すぐ来れない?」ってそんなムチャ!?

「採用です!今すぐ来れない?」ってそんなムチャな!?

 

現在、様々な業種で人手不足が伝えられていますから、
こうしたやり取りはこの会社に限ったことではありません。
「採用は慎重に!」とはいうものの、会社からすれば人手を
確保することが最優先。そうでないと「現場」が回りません。

時間的に余裕のない採用選考は採用者の人物、適性などを巡り、
入社後にトラブルとなる可能性がありますが、それはまた別の、
もっと後の問題です。

 

余裕のない採用では、入社間もなくしてトラブルとなることが
結構あります。

特に賃金や労働時間を巡る相違では、「話が違うじゃないか!?」
と即トラブルになることが多いですが、
それもこれも、会社側が採用を急ぐあまり労働条件の説明や
手続が後回しにされているからです。
(労働者側も確認するべきなのですが)

法律上、労働条件に関する一定の事柄ついては、書面による明示が
義務づけられていますが、「明日から頼むよ?」というような余裕
のない会社ではそのあたりはきれいに省略されているケースが多く、
”後で説明”どころか何年もそのまま…というケースも少なくない
ようです。(専田調べ)

 

ちなみに実際に見聞きする労働条件に関するトラブルの大半が
賃金、休日・休暇、労働時間に関するものです。
これは、労働局の行う調査でも似たような結果が出ています。※

ちなみに労働条件に関する以下の次項は法律により書面明示が
義務付けられています。(労基法第15条1項、同施行規則第5条)

・労働契約の期間
・就業場所、従事すべき業務
・始業・終業時刻
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間
・休日
・休暇
・労働者を二組に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
・賃金の決定、計算及び支払の方法
・賃金の締切り及び支払時期
・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

「なるほど、少なくともこれくらいは入社する際に聞いておきたいよね」
という事柄ばかりですが、会社が労働者に伝えるべき事項は
これだけではありません。

上記のほかにも退職金、賞与、安全衛生、懲戒、休職等、
就業規則で通常定められる事項についても、使用者が
これらに関する規定をおいている場合には、明示する
必要があります。(こちらは口頭でも構いません)

 

また、平成24年労働基準法施行規則の改正により、
有期労働契約の締結にあたっては、上記の11項目の
ほかに、「契約を更新する場合の基準に関する事項」
を書面により明示すべきとされています。

さらにパートタイム労働者については、上記11項目に
加えて、昇給、退職手当及び賞与の有無についても
文書の交付による明示が必要とされています。
(労働者の希望によりFAX、e-MAIL可)

 

採用時の労働条件を巡るトラブル、企業と労働者の
両者から「説明するのも(聞くのも)面倒くさい…」
というホンネが見え隠れしますが、軽く考えては
いけません。

企業側は労働条件の明示義務違反については30万円以下
の罰則(労基法第120条1号)が科されるだけでなく、場合によっては
労働者から雇用契約の即時解約や帰郷旅費の負担を求められる
ことがあります。※

 

採用するのも入社するのも何かの縁です。
説明すること、聞くべきをお互いにきちんと理解し、
せっかくの縁を「言った、言わない、聞いてない」
トラブルで台無しにすることのないように気をつけたい
ものです。

 

※東京労働局HP
「平成25年の定期監督等の実施結果」

※ 明示された労働条件が事実と相違する場合は、
・労働者側に労働契約の即時解除権が認められています
・この場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約
解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な
旅費を負担しなければなりません。
(労基法第15条2・3項)

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