こんにちは。管理部支援.comの専田です。※

間隔が空いてしまいましたが、前回の【前編】
雇用調整助成金の不正受給について、少しだけ
踏み込んで考えてみました。

インターネットに限らず、雇用調整助成金をはじめ
「助成金をもらうため」の情報はたくさんありますが、
不正受給に関する情報というのはそんなにありません。

今回のテーマ、意外に多くの方に読んでいただいて
いるのは、そんなところもあるのかと思いました。

さて、ブログで扱ったせいでしょうか。
助成金、特に雇用調整助成金の不正受給に関する
話(相談)を聞く機会がちょっとだけ増えました。

不正受給を行う会社側の話を聞くきっかけで
よくあるのは一般論、雑談風に持ちかけられる
パターンです。

例えば、
「こういう場合は、不正受給にならないよね?」
というように。

何気なく持ちかけられるのですが、その内容は
実にリアルな“例え話”。最初こそ雑談ですが、
徐々にリアルで具体的な話になってきます。

こうした話を第三者にすること自体、相談者は
不正受給の問題性を認識していると思うのですが…

いずれにせよ、助成金の不正受給という毒に会社が
溶かされる前にどこかで思い止まって
もらいたいと思います。

前置きが長くなりましたが、前編の続きとして、
不正を嫌う担当社員から相談として寄せられた
「助成金の不正受給に従事した担当者も逮捕されるのか?」
という点を中心に検討したいと思います。

後を絶たない不正受給

後を絶たない不正受給

4.刑事告発については?
労働局による刑事告発は、「不正の経歴、頻度、
常習性、不正受給額等を総合判断して行う」
と聞きます。

しかし、不正受給を行った企業が不正を認め、
全額返還に応じたことから、告発が見送られた
というような事例も散見され、何ともいえない
ところがあります。

ただ、刑事告発が行われた事例を見ていると、

・ペーパーカンパニーを使った不正受給

・広範にわたる出勤簿、賃金台帳等の偽造・捏造

・架空の教育訓練で多額の加算給付を受ける

など、不正よりも“詐欺”というべきケースがほとんどです。

また、労働局からの告発だけではなく、情報提供や
他の事件捜査などを端緒とした警察の捜査活動により
事件化されることもあります。

特に暴力団が関係しているような事案では少額でも
事件となっていますし、外国人が関係する事案では
警察の公安部門が事件化した例もあります。

いろいろと難しいところもありますが、少なくとも
「返せばいいんだろ?」では通らないことを肝に
銘じるべきです。

5.担当者も逮捕されるのか?
会社の不正受給が発覚し、労働局により刑事告発
された場合、担当者社員(一般社員)まで逮捕
されるようなことはあるのでしょうか。

実際に助成金の受給手続にかかる資料のとりまとめや
申請書の作成など、実務上は総務、経理などの一般社員
が行うことがほとんどですから、図らずも関わった社員
にしてみれば非常に不安です。

ただ、これまでの助成金不正受給の事件による報道を
見る限り、逮捕者については、不正受給の関与度合いが
高い代表者・経営幹部に止まっています。

少なくとも相談で寄せられるような“一担当者”が
逮捕されたというような例は聞いたことがありません。
(専田が知らないだけかも知れませんが)

強いて助成金の不正受給で担当者が逮捕されるような
要素を挙げるとすれば、不正への関与度合いが高い
次のようなケースが考えられると思います。

・率先して不正受給のスキームを企図立案した

・積極的に不正受給を行うためのアドバイスをした

・外部の怪しいコンサルタントと共謀して不正受給
を主導した

・不正受給の手続処理の報酬として高額の金品を
 受け取っていた

「上下関係でやむなく従った、不利益な扱いを
恐れて従った」ということであれば、一担当者が
告発の対象となり、逮捕までされるようなケースは
考えにくいと思います。

もっとも刑事告発後に関係者を逮捕するかとうかは、
労働局ではなく警察など捜査機関の判断によりますし、
その後の処分も最終的には裁判所で決まることです。

ただ、どのような形であれ、関与してしまった人が
不安に思う気持ちはよくわかります。
少しでも不安に思うことがあれば、弁護士に相談される
ことをお勧めします。

最後に「担当者の自己防衛策」について
考えてみたいと思います。

会社という組織の中にあっては、疑問に思う指示
であっても従わざるを得ないこともあるでしょう。
その善し悪しは別として、不正が明るみになったとき、
末端の社員は責任を押しつけられるかもしれません。

そうならないように、また、疑われるような
ことがあったらきちんと説明できるように、最低限
不正に関して受けた指示の記録を残しておく
ことが必要です。

記録の残し方もいろいろですが、まずは、
いつ、どこで、だれから、どのような指示を受けか?

という点について、手帳などにメモしておくとよいでしょう。

長くなりましたが、少しでも助成金の不正受給
について悩む方の参考となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

※この記事は、平成25年9月に執筆したものです。
雇用関係の助成金については、平成31年4月以降に不正受給対策が
大幅に強化されていますので、ご注意ください。

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