こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

先日、(9/25)厚生労働省から出されている
雇用関係助成金の解説パンフレット最新版が
発表されました。

パンフレットはこちらから。
厚労省HP 「雇用関係助成金のご案内~雇用の安定のために~【詳細版】

パンフレット「雇用の安定のために」

パンフレット「雇用の安定のために」

 

今年は政権交代もあったせいでしょうか。
個々の助成金に関する細かい変更もさることながら、
春頃から助成金制度が激変しています。

本当にこまめにチェックしていないと、あっという間に
「浦島太郎」となってしまうのが、助成金の世界といえる
かもしれません。

 

助成金制度は、その時々の雇用情勢を反映した
ものであり、時の雇用行政の重点施策に合致して
いれば、“手厚い助成金”を受けることができます。

“手厚い助成金”を受けることができるのはいいこと
ですが、同時にある問題も出てきます。
『不正受給』の問題がまさにそれです。

 

不正受給の中でもヒドイ例として真っ先に挙げられるのが
「雇用調整助成金」(略して雇調金)

この助成金、5年ほど前のリーマンショックによる
不況で一躍脚光を浴び、その後に発生した東日本
大震災などで不況に喘ぐ企業の雇用維持に大きな
役割を果たしました。

リーマンショック後は中小企業に限定した、
雇用調整助成金の派生型として給付の手厚い
「中小企業緊急雇用安定助成金」も追加
されるなど、まさに時の政策判断も合わせた
”手厚い給付”がなされたのです。

しかし、その反面、休業要件や教育訓練実施時の
割増給付を巡り、未だに多額の不正受給が後を
絶たない助成金であることも事実です。

 

専田もごくたまに企業の経理や人事総務系の担当者と
おぼしき方から助成金の不正受給に関する相談を
受けることがありますが、そのほとんどが雇用調整助
成金絡みです。

寄せられる相談の内容としては、大まかに分けて、
「不正に手を貸すのはもうイヤ!何か方法は?」
「バレたら私も逮捕されるのか不安!」
…という主に2つです。

ちょっと話を聞いただけで“ブラック企業”のニオイが
プンプンと漂ってきますが、それはまた別の話。

 

さて、たまにテレビなどで、
「助成金の不正受給により社長以下何名を逮捕!」
というニュースを見ることがありますが、
実際には不正受給事案がどのような結末をたどっているのか
よくわからない
ところがあります。

そこで、不正受給がどのようなものかを考えてもらう
ためにも支障のない範囲でこの点について考えて
みたいと思います。

なお、今回の前半では、企業に対する影響を、
次回後編では、「質問・相談」として受けたような
“担当者”に対する影響を考えてみたいと思います。

 

1.不正受給事案の公表
まず、助成金の不正受給事案については、
管轄の都道府県労働局から、助成金の不正受給を行った
事業所(会社名)、事業主名(社長名)、不正受給額などの
公表が「雇用調整助成金」を中心に行われています。
(公表は各都道府県労働局のHPでも行われています)

なお、”雇調金”公表については、未遂でも公表される
ことがあるように不正受給額の多寡ではなく、意図的な
書類の
改ざんなど不正の認識や不正に受給しようとする
意図が
窺えれば、公表する方針
といわれています。
(東京の場合)

 

2.不正受給した助成金はどうなるか?
不正受給した助成金については、全額返還が原則です。
以前は、不正の度合いによりいくつかのパターンに分かれた
というような話も聞きました。

しかし、近時の例では、全額返還を巡り企業が倒産、廃業に
至ったケースも散見されていますので、軽く考えてはいけません。
(この点については、実に様々なハナシが漏れ聞かれます…)

それに、不正の期間が長い、また、規模が大きければ
それだけ、不正の額も大きくなります。

雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)
の例でいえば、1社単独で約5億円(2013.6神奈川)、
2社のグループで約6億円(2013.2大阪)という不正例
もあります。単に返すだけでもとんでもない負担です。

一方、「失業者を増やしては元も子もないのだから
不正受給とはいえ、雇用行政が会社を追い詰める
ようなことはしないだろう?」という方もいます。

一見して説得力があるようにも思えますが、
”都市伝説”と考えた方がよさそうです。

ある行政関係者は、こう言いました。
「公平・公正の観点からも会社・社員のためを

思って情状酌量するようなことはない。」と。

そりゃそうです。助成金の原資は、企業と労働者の
納める雇用保険料で成り立っているのですから。

断定はできませんが、これが現在の行政の方針と
考えた方がよさそうです。

 

3.社会的な信用を失う
企業名の公表によるダメージは決して少なくありません。
それは、いま流行の“ブラック企業”呼ばわりされる
ような風評被害だけではありません。

誰でも助成金の不正受給を行うような企業と関わり
たい
とは思わないはずです。

社員のモチベーション低下はもとより、コンプライアンス
上の問題など様々な理由をつけられ、取引先、金融機関
から敬遠されることになります。

特に金融機関については、「半沢直樹」ではありませんが、
かなりシビアな対応となることもあります。 (以下、自粛)

そうして、人材流出による社業の停滞や、資金繰りに窮し、
返還すべき不正額の負担に耐えかねて廃業、倒産する
ケースが散見されていることは先に述べたとおりです。

 

このようにデメリットを挙げはじめたらキリがありません。
長くなりましたので、続きは次回にしたいと思います。

次回後編は、「一社員、担当者」に対する影響を
中心に考えてみたいと思います。最後までお読み
いただき、ありがとうございました。

◆「私もタイホ?」助成金の不正受給【後編】 はこちらから!

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