こんにちは。管理部支援 .com の専田です。

 

食中毒といえば、夏のイメージが強いと
思いますが、現在、全国で冬の食中毒
『ノロウィルス』が猛威を振るっています。

ノロウィルスには、直接効く薬がない、
消毒が難しい、感染性が強い、重症化も珍しくない、
といった性質があり、特に「消毒の難しさ」は効果的な
対応を困難なものとしているようです。

 

福祉施設や飲食店、食品製造・加工業などで
集団感染の事例が相次ぎ、時に死者を出す
ような事件も発生しており、深刻な社会問題
となっています。

企業としては、ひとたび重大な集団感染を起こして
しまうと、“致命的なダメージ”となりかねません
から、厳重な予防策が求められます。

そこで、日常の「手洗い・うがいの励行」といった
基本的な予防策を徹底する一方で、ノロウィルスに
感染した、または感染の可能性がある社員の管理を
強化する企業も増えています。

 

中でも、

社員と同居の家族にノロウィルスの感染が疑われる者が
 発生した場合は、その社員が感染していないことが判別
 できるまでの一定期間を自宅待機

ノロウィルス感染の可能性がある者と接触した社員に
 ついても感染していないことが判別できるまでの期間を
 自宅待機

というようなさらに踏み込んだ対策を取る企業も出て
来ているようです。

 

ここで非常によく受ける質問として、
『自宅待機』期間中の給与はどうするのか?
という問題があります。

有給とするのか、無給とするのか?
また、有給の場合も控除せず100%支払うのか?
という点はどうなるのでしょう?

 

まず、労働安全衛生法や感染症法により
一定の疾病について、就労を制限する規定が
ありますが、インフルエンザやノロウィルスは
これに該当しません。

次に労働基準法第26条(休業手当)では、
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に
おいては、使用者は、休業期間中当該労働者に、
その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わ
なければならない。」と定められています。

 

この場合、「ノロウィルスによる自宅待機」が
使用者の責めに帰すべき事由かどうかという点が
ポイントになりますが、この規定は労働者の生活
保護が目的とされているため、「使用者の責めに
帰すべき事由」への該当については、幅広く認め
られています。

ちなみにこれと似たような話は、インフルエンザの
流行の際にも出てきます。

※以前検討したブログ記事
 『家族のインフルエンザで出勤停止!? 濃厚接触者の処遇は?』
  も合わせてご参照ください。

 

インフルエンザもノロウィルスも“会社の責任”
ではありませんが、法令で就労が制限されている
わけでもなく、単に感染の疑いのあるという社員
を自宅待機とする理由は、感染の拡大を予防したい
会社側の必要に基づくものといえます。

こう考えると、少なくとも『自宅待機期間中』
については、労働基準法第26条の規定により
平均賃金の60%を休業手当として支払う必要が
あります。

 

医療や食品関係の業種で、ノロウィルスの
対策強化が必要なのは当然です。

しかし、だからといって、社員だけが一方的に
不利益を被ることがあれば、労務トラブルという
新たな問題が一つ増えかねません。

会社としても、あらかじめ体制を整え、社員の理解も
得て、いざというときに困らないように丁寧な対応が
求められます。

 

ノロウィルスによる急性胃腸炎が多発するのは、
「11~3月にかけての冬場」ですから、シーズンは
まだこれからです。

基本的な予防策の徹底と合わせて、参考にして
いただければ幸いです。

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