こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

前回は、専田が“SNSと労務管理”に取り組むように
なった理由の一つ目をお話ししました。
今回は、その続きとなる、きっかけの“決定打?”
となった二つ目の理由をお話ししたいと思います。

 

某有名ホテルや大手スポーツ用品メーカーでの
“SNSトラブル”が広く知られるようになったある日の
ことでした。

ある会社から「twitterで会社批判や役職者の悪口を
書き込んでいる者がいて困っている。どう対応したら
よいか?」という相談を受けました。

アドバイスの甲斐あってか、トラブル自体は無事に
収拾できたようでしたが、問題はそれからでした。
その会社の担当者からお礼の中で、新たな相談を
受けたのです。

 

その相談とは、
「社員のSNSを禁止するために就業規則を変更
したいのだか、どのような条項とすればよいか?」
というものでした。

 

やりとりはさらに続きます。

「SNSの禁止?それは、就業時間中のことですか?」
「いえ、プライベートを含めた全面禁止です。」

「それは、ちょっと問題じゃないでしょうか?」
「なぜですか?現に今回(相談)のようなトラブルも
起きているし、予防の意味でも会社としては、必要と
考えていますが?」

「では、伺いますが、違反した社員はどうなるのですか?」
「最悪の場合、懲戒解雇を含めた厳罰で臨みます!」

「う~ん…」

 

何となく、察しはつきましたが、
「やはり、そうきたか…」という重苦しさを感じました。

この会社は、よほど“会社を巻き込むSNSトラブル”
懲りたのか、一気に“厳罰規制”へとシフトしてしまった
ようでした。

 

“会社の気持ち”もよくわかります。
社員のプライベートでのSNSによるトラブルに
会社が巻き込まれて社会的な批判を受けたり、
信用を問われるようなことに遭えば、会社として、
「いっそのこと全面禁止にしてしまおう」
考えるのも無理はありません。

 

しかし、このような「全面禁止」は可能なのでしょうか?
結論からいえば、私はムリがあると思います。

まず、会社が社員の私生活を規制・制限する根拠は
なんでしょうか?

 

労使の関係でまずいえるのは、“労働契約関係”
ですが、この関係は「労働者の私生活に対する使用者
(会社)の一般的支配まで生ぜしめるものではない。」
とされます。

また、就業規則については、一般に労働条件と
服務規律を定めるものと定義、説明されます。
そして、これに違反すれば、就業規則にその定めが
あれば、”懲戒処分”の対象となります。

しかし、これは、企業が事業活動を円滑に遂行する
ために必要な範囲で、企業秩序を維持する権限を
使用者に認めたものです。

ですから、私生活上の“不祥事”については、これを
懲戒の対象と規定したとしても、基本的に企業の
秩序維持と無関係であるため、直ちに懲戒処分とする
ことには懲戒権の濫用として、問題になるおそれが
あるのです。

乱暴な言い方かも知れませんが、基本的には、
「仕事さえきちんとしていれば、プライベートで何を
やっても(社員の)自由だろう?」ということです。

 

もちろん、いくらプライベートとはいえ、何をやっても
許されるとは私も思いません。

犯罪行為は言うに及ばず、会社の信用を失墜、
ないし背信となる行為、職業的なモラルに反する行為、
また、業務に支障が出るような行為が許されないのは
当然のことです。

こう考えると、トラブルとなるような情報発信は制限され
得る
としても、プライベートのSNSを全て制限(禁止)
の対象
とすることには、どうにもムリがあると思うのです。

 

次に社員の側から考えてみます。
社員からみれば、「SNSを利用する、楽しむ権利」
いうものがあるのではないでしょうか?

スケールの大きな話?になりますが、全面禁止とした場合、
憲法で保障されている、「表現の自由(憲法第21条)」
に反すると主張されることはないでしょうか?

許可制や届出制とした場合も同様な問題となる
可能性がありますし、場合によっては、会社が不都合な
情報発信を取り締まる“検閲”のような話にもなりかねません。

”全面規制”の問題点については、この辺にしたいと思いますが、
この相談を契機に企業におけるSNSのあり方について本格的に
取り組むことになったのです。

 

以前、「“会社を巻き込むSNSトラブル”続発している
からといってそんなデッカイ話になるのか?」と言われた
ことがあります。

確かに現時点で、※ここで検討したような会社と社員の
間でSNSを巡るトラブルで裁判になったというような話は
聞きません。(※平成24年10月現在)

 

しかし、将来的にはわかりません。
さらに私が相談を受ける内容は、

・SNSを全面禁止としたいがよい方法はないか?

・社員のSNS利用について許可制・届出制としたいが
 どのような制度や規定をすればよいか?

という内容が依然として寄せられます。

また、規制・制限することの限界、そして、問題があるのを
承知の上で企業としてやむを得ず必要な措置を取らなくては
ならないこともあると思います。

「いつか大きな争いになるのではないか?」
そんな専田の考えは杞憂なのでしょうか…。

 

紆余曲折あり、こうしてSNSにまつわるトラブルを
見聞きし、時にアドバイスなどを行っているうちにいつしか
“会社を巻き込むSNSトラブル”に半ばライフワーク?
のような形で取り組むようになっていたのです。

 

新たなコミュニケーション手段として様々な可能性が
期待されるSNSを“厄介者”扱いすることなく、
会社と社員とSNSの良好な関係が築けるよう、
微力ながら今後も対応策のあり方を検討して行きたい
と思います。

 

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