雇調金・中安金

こんにちは。管理部支援.comの専田です。
早いもので、「東北・関東大震災」から、今日で12日が経過しました。

ここ近年の災害であれば、そろそろ災害直後の混乱を脱して、復興へと
シフトしていたように思いましたが、東北地方の被災地では、いまだに
混乱を脱する目途すらついていないようであり、今回の震災による被害が
いかに甚大なものであったかを思い知らされました。

また、今回の震災が日本に与えたショックも計り知れないものがあり、
被災地でなくともなんだか陰鬱とした気分になってしまいます。
東京では、まず浅草の三社や神田明神の祭りが中止、東京湾大華火祭も早々と
中止が決定、この調子だと隅田川の花火大会も中止になりそうです。

自粛ムードというより、日本全体が「なんだか祭りをやるような気分じゃない」
というのが本音なのではないかと思うのです。
特に被災地をはじめ首都圏でも、いまだに余震が続いているのですからなおさら
です。

原発の問題も危機を脱したとはいえず、放射能汚染がどこまで広がるか見当も
つきません。また、不安定な政局に破綻寸前の財政からどのように復興資金を
捻出するのか、そんな将来の不安を「国民」が感じ取っているのかも知れません。

どうでしょう。どこかで、「心機一転」を図るべきだと思うのです。
いっそ、中止になった祭りや花火大会をまとめて東北の被災地で行うというのは
不謹慎でしょうか。

前置きが長くなりました。すみません。
前回までは、災害直後からしばらくの間に生ずる労務問題を扱ってきました。
今回は、災害直後の混乱期を脱して復興に向けたステップについて検討して
みたいと思います。

さて、このたびの震災でどれくらいの企業が影響を受けたのでしょうか。
被災地以外の地域でも特に自動車産業などの製造業では、サプライヤーの
被災により部品・素材の調達ができず、大手自動車メーカーでも当初の予定を
超えて操業停止を延長するなどの影響が広がっています。

また、食品関連やサービス業などでも計画停電に呼応した「節電協力」により
暗くなったネオンとともに経営の見通しも確実に暗くなってきています。

さて、一番わかりやすい製造業を例にとって考えますと、震災の影響により
操業を停止した場合、社員はどうなるでしょうか。
前回までの検討では、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかで
労基法26条で定める「休業手当」支給の要否が発生することを見てきました。

しかし、仮に「法的に休業手当支給の要アリ」となっても無い袖は振れません。
また、無理をして支払い、倒産してしまっては、元も子もありません。
このようなときは、「助成金」の活用を検討するのも一つの手です。

助成金制度も色々とありますが、今回のような事態に一番対応しやすいのが、
厚生労働省の「雇用調整助成金」だと思います。
ちなみに財源は雇用保険(事業主の負担部分)で賄われています。

元は、旧西ドイツで行われていた操業短縮手当の制度がモデルといわれて
います。これは操業を短縮したときに連邦雇用庁が、労働者の収入源の一部を
補填するという制度でした。(現ドイツでも同様の制度があります)

雇用調整助成金は、景気後退によって雇用維持が困難になった事業主に
対して、休業手当の一部を政府が負担することで、社員を一時帰休などの
方法で休業させて雇用維持を図るというものです。

企業にしてみれば、大変直接的でインパクトが大きい助成金です。

雇用調整助成金は、産業構造の変化(進化)を阻害するなど、その創設当初から
批判もありましたが、様々な理由から苦境に陥る企業のピンチを救ってきたのも
事実です。

では、この雇用調整助成金(雇調金)、実際にはどのような助成金でしょうか。
具体的な要件としては、「最近3か月の生産量、売上高等がその直前の3か月又は
前年同期と比べ5%以上減少している雇用保険適用事業所の事業主」が対象と
なります。

なお、中小企業緊急雇用安定助成金は、中小企業向けに雇用調整助成金の助成内容を
拡充したもので、直近の決算等が赤字の場合、生産量等の減少が5%未満であっても
対象となります。

最近では、鳥インフルエンザ、口蹄疫、新燃岳噴火被害など特定事象に対する助成金
適用の緩和措置を講じるなど、弾力的な運用がなされていましたが、今回の震災に
ついても「計画停電による事業活動縮小も要件に当てはまれば対象とする」、
「生産量・売上高も災害後1ヶ月の見込みで判断」、「提出計画の遡及適用」などの
特例措置が講じられました。

ここで、いずれの助成金でも注意していただきたいのは、あくまでも「経済上の
理由により事業活動が縮小した場合に利用できる制度」なので、震災による
事業所の損壊が事業活動縮小の直接的な理由である場合は利用できません。

(修理手配の困難による縮小は別)

雇用調整助成金は、事業主が休業に係る手当等を労働者に支払った場合、
それに相当する額に対し、以下の助成率で支給しています。
なお、事業主が解雇等を行っていないなど、一定の要件を満たした場合は、
カッコ内にある助成率となります。

◆大企業  (雇調金)  : 2/3 ( 3/4 )
◆中小企業 (中安金)  : 4/5 ( 9/10 )
※ 上限額は、ともに1人1日当たり7,505円

※ 中小事業主にあたるか否かの判断
■資本金(出資額)が、
小売・サービス業で「5,000万円以下」
卸売業「1億円」、それ以外「3億円」
または
■常時使用する労働者数
小売業「50人以下」、サービス・卸売業「100人以下」
それ以外「300人以下」              …となっています。

なお、「休業」だけではなく、休業とする期間に「教育訓練」を行うこともでき、
一定の要件を満たす教育訓練を行った場合は、上記の助成額にさらに、
大企業で4,000円、中小企業で6,000円(ともに1人1日当たり)が加算されます。
(※教育訓練加算については、減額改定の予定がありますので、ご注意ください。)

ただ、「教育訓練」による場合は、助成額も高額となるため、審査が厳しくなります
ので、注意が必要です。(特に事業場内訓練の場合)

雇調金については、「リーマンショック」以来、申請企業が相当数に上り、その一部で
悪質な不正受給が認められることから、現地調査も行われており、ひとたび不正受給が
発覚すれば、助成金の変換だけでなく、企業名公表を含む厳しい処分が科せられます。

是非とも助成金の趣旨に沿った適正な申請を心掛けたいものです。
以下に厚生労働省のリンクを張りましたので、ご参照ください。
大変長くなりましたが、今回はこれで終わりたいと思います。

【参考】 厚生労働省HP

○雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金ガイドブック
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a05-1.html

○東北地方太平洋沖地震被害に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合に
雇用調整助成金が利用できます
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a09-1.html

○東北地方太平洋沖地震被害に伴う雇用調整助成金の活用Q&A
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a10-1.html

 

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