こんにちは。管理部支援.com の専田です。

 

仕事のストレスやプレッシャー、過労から
「どこか、遠くへ…」などと思うことは誰でもあるでしょう。
通常なら思うだけですが、希に本当に「行方不明・失踪」
してしまうケースもあります。

 

以前、このブログで
「社員が行方不明となったとき、会社はどのように対応するべきか?」
というテーマ※1で検討したところ、予想以上の反響をいただきましたので、
前回扱わなかった点を補足する形で検討してみたいと思います。
(※1:以前のテーマ「社員が行方不明!?」編 はこちらから)

 

社員が行方不明となった事実が判明するきっかけは、
「ある日を境に出勤しなくなった」という形が大半です。
なお、ケースとして多いのは、圧倒的に独身者です。

電話やメールも通じず、自宅を訪ねてみても留守。
上司や担当者が対応にあまり、親族とも連絡を取る中で、
必要となってくるのが、本人を探すために必要となる
警察への届出です。

 

この警察への届出。正式には「行方不明者届」といい、
原則として、行方不明者の居住地を管轄する警察署に届け出る
ことになります。

しかし、この届出、
「家族でないと受け付けてもらえない」という話をよく聞きます。
なぜでしょうか?

 

「行方不明者届」の届出ができる者は、
「行方不明者発見活動に関する規則※2
第6条で以下のように定められています。

 

(行方不明者届の受理)
第6条
行方不明者が行方不明となった時におけるその住所又は居所を管轄する
警察署長は、次に掲げる者から行方不明者に係る届出(行方不明者届)
を受理するものとする。

1.行方不明者の親権を行う者又は後見人

2.行方不明者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上
 婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)その他の親族

3.行方不明者を現に監護する者

4.福祉事務所(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める
 福祉に関する事務所をいう。)の職員その他の行方不明者の
 福祉に関する事務に従事する者

5.前各号に掲げる者のほか、行方不明者の同居者、雇主その他の
  当該行方不明者と社会生活において密接な関係を有する者

 

「なんだ、家族じゃなくても届出はできじゃないか?」
確かにそうです。第5号にあるとおり、「雇主(やといぬし)」
つまり、「社長」でも届出はできます。

親族が遠隔地に居住しているなどの事情があれば、親族以外の者
からの届出でも受理され、実際に会社の上司や担当者が届け出て
受理されるケースもあるようです。

しかし、規定に該当すれば誰でも届出ができるわけではありません。
実際に家族以外の者が届出をする場合一定の条件を満たして
いないと
警察では受け付けてくれません。※3

その条件、まとめると以下の3つです。

(1)行方不明者と金銭トラブルなどの利害関係にないこと

(2)きちんと連絡が取れる人

(3)責任を持って対応してくれる人

 

(1)については、利害関係にある者が警察力を利用して相手方を捕まえよう
というようなことを防ぐため、届出者がこのような利害関係になく、行方不明者
との関係をきちんと説明できることが必要です。

 

(2)・(3)については、ちょっと生々しい話になります。
まず、行方不明者が発見されるのは、平日の昼間であるとは限りません。
休日でも夜間でもきちんと連絡が取れて、身元の引き受けなどの対応を
してくれる人
でないと警察としては困るということです。

行方不明者は無事に発見されるとは限りません。
事件に巻き込まれているのであれば、行方不明時の状況などの
事情を聞かれることもあるでしょう。
また、不幸にして死亡していることもあるかもしれません。

そのような場合であっても、警察の求めに応じて事情の説明や
遺体の身元確認などもきちんと対応してくれる人、
さらには、親族への引き継ぎなどをきちんと対応してくれる人
でないと、やはり警察は困るということです。

 

身元確認

身元確認

 

会社の上司などが届出たケースで警察として一番困るのは、
「その者(不明者)は、もう当社の社員ではないので知りません」とか、
届出をした上司や担当者が異動・退職をしていて、「もう関係ない」、
「対応できない」と言われるケースなのだそうです。※4

 

過去に専田が行方不明社員の案件で対応した際、警察官にこんなことを
言われました。

「錯乱状態で保護されることもあるし、亡くなっていることもあるかもしれません。
付き添って看病しろとか、葬式を挙げろとまでは
言いませんが、最低限きちんと
対応してくれないと警察としては困るのです。」

そんな警察官の言葉は今でも覚えています。

 

別に警察の味方をしているわけではありませんが、警察という「公の機関」
に頼る以上は、頼る側もきちんとした対応ができなければならないのだと
思います。

このように考えると、届出については、やはり「親族」が行うのが一番
ということになるでしょう。

 

今回のような問題が発生した場合によくあることですが、会社として、
「騒ぎを大きくしたくない」とか、「子供じゃないんだからしばらく様子を見よう」
というように、親族へ早期の連絡をためらうのは誤りです。

最後は社員の親族でないと対応できないことがたくさんあるのです。
また、親族は、入社時の「身元保証人」となっているケースも多いでしょう。
そうなれば、道義的にも法的にも特異な状況が生じた場合の連絡というのは
速やかに行うべきではないでしょうか?

さらに、「なぜ、早くしらせてくれなかったのか?」というような形で
親族に不信感を抱かれ、トラブルとなるケースも意外に多いと思います。

次回は、社員の行方不明対応と合わせ、その親族・身元保証人との
連携などについて考えてみたいと思います。

 

※2:行方不明者発見活動に関する規則
(平成21年12月11日国家公安委員会規則第13号)
に基づき、各都道府県警察で細則が定められています。

※3: 言い方はいろいろですが、実質的に断られるものと思います。

※4:対応できなくなったら届け出た警察署に必ず相談しましょう。

 

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