まだ余震

こんにちは。管理部支援.comの専田です。

前回は、今回の「東北・関東大震災」に伴う操業停止による
休業手当の支払いについて、「新型インフルエンザ」で検討された
事例を踏まえ、その要否について検討しました。
今回は、休業手当支払いの要否について、もう少し検討してみたいと思います。

まず、休業手当の支払の用件ですが、
「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合は、休業手当の支払いを
要し、この「使用者の責に帰すべき事由」の範囲は、かなり広く解釈される
という点については、前回見たとおりです。

前回も紹介した、ノース・ウエスト航空事件の最高裁判例を少し詳しく見て
みたいと思います。

この事件は、企業の一部労働者がストを行う場合、このストに参加しない労働者に
ついても休業命令を発してその就労を拒否する場合、その労働者は使用者に対して、
賃金または休業手当の支給を請求し得るかが争われたものです。

これについて、学説の見解は大きく、以下の2つにわかれています。

①民法上の危険負担と考える立場
民法では、「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができ
なくなったときは、債務者は反対給付を受ける権利を失わない…」
(民法第536条第2項)と定められていますが、ストに参加しない労働者の
不就労が、この「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するかどうかという
危険負担の問題と捉えるものです。

具体的には、ストに参加しない労働者の労働が不能または無価値となった
場合は、ストは使用者の責めに帰すべき事由ではない。
反対に客観的に就労可能であったにもかかわらず、使用者の主観的意思に
より就労を拒否した場合は、使用者の責めに帰すべき事由となるという説です。

②集団的労働関係から考える立場
これは、不参加労働者がストを行っている労働組合の組合員であるかどうか
によって区別し、組合員である場合は、部分ストとなり、これについては、
使用者が正当なロックアウトの要件を満たし、その通告を行う場合に限り
賃金支払義務を免れ、非組合員または別組合員である場合は、その不参加者は
争議意思の決定に参加していないのだから、賃金請求権を失わないとする説です。
(これについては、就労が無価値かどうかでさらに見解が分かれます)

判決は、賃金請求権について①の立場で判断し、賃金請求権と休業手当の請求権は
競合するが、労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業手当の
支払いについては、「労働者の生活保障」の目的から民法536条2項の「使用者の
責」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害も含むとしたものです。

これと合わせ、休業手当の支払義務が発生するものとしては、
「機械の検査、原料の不足、流通機構の不円滑による資材入手難、監督官庁の
勧告による操業停止、親会社の経営難のための資金・資材獲得困難」
(昭23.6.11基収1998号)が挙げられます。

以上のように、休業手当の性格が労働者の生活保障にあり、「使用者の責めに帰す
べき事由」は広く、「天災事変による不可抗力」は狭く解釈されるものと考えます。

なお、別にご紹介した通り、3/15付で「東北・関東大震災に伴う計画停電が
行われる場合の休業は使用者の責めに帰すべき事由には該当しない」
という、
通達(平23.3.15 基監発0315第1号)が出ております。

しかし、通達を見てみると停電以外の時間は原則として「使用者の責」に該当すること、
該当しない場合とは、代替手段、使用者の休業回避の具体的努力等を総合的に勘案して
判断するとされていること、停電が実施されなかった場合についての休業措置も、措置実施時
の状況を踏まえて判断となっていますから注意が必要です。

つまり、安易に「計画停電=休業手当不要」とは考えない方がよいということです。
また、通勤困難による休業も私は同様に考えます。

次回は、休業手当の計算に必要な「平均賃金」ついて検討してみたいと思います。

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