会社都合

こんにちは。管理部支援.comの専田です。

大きな被害を出した「東北・関東大震災」。被災地から遠く離れた関東地方、
特に東京では計画停電による鉄道の間引き運転により、未だ混乱が続いて
います。

普段は、1時間程度の通勤も3時間かけて「出社」というより会社に
「辿り着いた…」という方はざらのようです。
「会社がこれほど遠いと感じたことはなかった…」と絞り出すように
つぶやいた友人の言葉が非常に印象的でした。

それでも、出社できるだけでマシという感じで、例えば、上野‐仙台間を
結ぶ常磐線では、取手以北は未だ運休で、常磐自動車道も通行止めになって
おり、メインの国道6号線も大混雑となれば、もはや出社は諦めるしかあり
ません。その前に、未だに帰宅していないという方も多いように思います。

都心は人影もまばらで「開店休業」状態の会社も多いのではないでしょうか。
また、ガソリンや食料品などの物資の不足により事業に支障の出てきている
会社もでてきているようです。

このような事業継続(BCP・BCM)の問題については、ブログの別編で
扱っておりますので、そちらをご覧ください。
本編では、災害時の労務管理について検討してみたいと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、人事労務で責任を負うあなたが一番
気になっていることは、「今回の地震で仕事にならない。臨時休業とした
場合、社員の給与はどうしたらよいか?」
ということではないでしょうか。

まず、労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の
場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の
百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定められています。

目的は、「労働者の責に帰することのできない事由」による休業の場合に
おける労働者の最低生活の保障をはかるためであり、
「休業」とは、集団的な一斉休業と個々の社員とを問わず、また、「丸1日」
と「所定労働時間の一部のみ」の休業も含まれます。
(昭27.8.7基収3445号)

次に「使用者の責に帰すべき事由」についてですが、民法上は使用者の
帰責事由に該当しないような経営上の障害も、天災事変などの不可抗力に
該当しない限りはそれに含まれるとされます。
(ノース・ウエスト航空事件 最二小判昭62.7.17)

つまり、天災事変などの不可抗力による操業不能以外は「60%」以上の
休業手当を支払わなければならない
ということになります。

以前、「インフルエンザ特集」の際に、会社都合の認められる範囲と具体的な
事例について検討しましたが、これも踏まえて今回の東北・関東大震災のケースと
あわせて考えた場合、次のように整理できると思います。

①地震・津波による甚大な被害を被った地域(いわゆる「被災地」)
社屋、製造設備などが被害を受けたことによる操業不能であれば、
「天災事変による不可抗力」によるものであり、休業手当の支払いは
不要となると考えます。

②関東地方、特に東京都心などの首都圏で公共交通機関の運休などによる
社員の通勤困難から生じた操業不能
(開店休業?)
震災とその後の交通機関の運休による混乱は「天災による不可抗力」と
いえなくもありませんが、単に社員の通勤困難によるものであれば、
震災後に対応措置を講ずることも全く不可能ではなく、休業手当の支払いが
社員の生活保障にあることを踏まえると、これを否定してまで「天災に
よる不可抗力」と認められる余地は少ないと考えられます。

③新型インフルエンザによるケース
地震等の天災事変の発生と比較して予測可能性が格段に高く、対策に必要な
情報も官公庁などから提供されることを考えると、発症者と接触した「濃厚
接触者」、事業継続計画の一環として不急不要の事業を縮小したことによる
社員の出勤停止については、「社員の生活保障」を犠牲にするまでの必要性が
認められることは考えにくく、休業手当支払いの必要が生じるものと考えます。

被災地の復興と原発をはじめとした事態の一刻も早い収束を願いつつ、状況の推移に応じて
非常時の労務管理に必要な他の事項についても検討してみたいと思います。

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