こんにちは。管理部支援.comの専田です。

社員が失踪した!?
そんなとき、会社はどのように対応したらよいかと
いう点をテーマに検討しています。

前回までは、(長々と)社員が行方不明になった場合に
ついて検討してきました。

今回、ちょっと変わった2つのケースをご紹介して、
このテーマを終えたいと思います。

 

◆ケース1「出社拒否」

ある関与先から相談を受けました。内容は、「出社を拒否
している社員がいるのだが、どう対応したらいいでしょうか?」
というものでした。

特に問題がある会社ではなかったので、「出社拒否の理由は
何だろう?」と思いましたが、よくよく聞いてみると、
「会社の方針が気に入らないから出社を拒否している」
とのこと。
ちなみにこの時点で出社拒否(欠勤)1週間目

ほとほと困り果てた担当者に代わってその社員に話を聞いて
みると…「(会社の方針転換について)社長は私に説明する
義務がある!」とのこと。

一瞬意味がわかりませんでした。「…それって、社内的に方針
転換を知らせるべきということなのかな?」と尋ねたら違いました。
要約すると、「会社の方針転換について、私(拒否社員)の了解
を取らないのはおかしい」というのです。

「どんだけ偉いの?」と思いましたが、もちろんヒラ。
日本語は通じるのですが、話にはなりません。
「宇宙人と話すとこんな感じ?」というのが正直な感想でした。

担当者から詳細を確認し、別段会社としての対応に問題はないよう
でしたので、「粛々と対応するように」とアドバイス。

出社にも応じず、話もまとまらないようであれば、懲戒解雇も視野に
入れて対応するしかありません。

 

前回までにお話したとおり、こうした場合でも「記録を残す」のは、
大原則
です。電話から、自宅訪問まで全ての対応記録を残すように
担当者にお願いしました。

その後の会社からの連絡にものらりくらりとかわすだけ、全く進展は
なく、手紙を出してもなしのつぶて。適当なタイミングを見計らって
会社から出社日を指定して文書で出勤督促をしてもらいました。

 

内容は、「これ以上、出勤督促に応じない場合は処分もあり得る」
というもの。「意思は相手に伝わらないと意味がない」ことは前回
触れたとおりですから、督促は、内容証明郵便を使ってもらいました。
ただ、後で「知らない」とか言われないように特定記録郵便も併用です。

内容証明は受取人の「認め」がないといけませんが、特定記録郵便は、
郵便局の
受付と郵便受箱(ポスト)までの配達を証明してくれますから
今回のように
まともな受取が期待できそうにないときは効果的です。

結局、「自己都合退職」ということになりましたが、担当者らの理解と
協力もあって、冷静な対応ができた好事例であったと思います。
ただ、この社員、有給休暇は全て消化して退職していったとか…。

 

◆ケース2 「居場所はわかった!だけど・・・」

ある日を境に社員が出社しなくなった。連絡も取れない。
無断欠勤の前日は、別段何の変りもなく仕事を終えて帰宅した
はずなのだが…。

まさに前回まで見てきました「行方不明」ですが、社員の所在と
無事がわかっても、喜べないのがこのケース。

この社員。実は、退勤後に悪さをして警察に逮捕されて
いたのです。なんのことはない、出勤できないのは、警察に勾留
されていたから。本気で心配している社長からの問い合わせや
警察に捜索願を出すようにとの勧めに家族が耐えられず、「実は…」
と打ち明けたものでした。

収まらないのは社長です。本気で心配していたのに「この始末か!」と。
また、その社員をずいぶん可愛がっていたようで、まさに「可愛さ余って」
という感じでした。

ただ、「クビだ!」はいいのですが、相手は勾留中ですから、
当然連絡は取れません。また、否認しているのか、接見禁止
の措置により家族すら面会することができません。
(この場合、弁護士しか会えません)

結局、家族から担当弁護士に連絡を取ってもらい、
「自己都合退職」ということに。なお、逮捕されると警察から
家族には連絡があります。

事情通によると、「家族には知らせておかないと騒ぎになってしまうから。」
とのこと。もちろん連絡は警察官から。身寄りがないなどの場合は例外的に
会社などの第三者に連絡するようです。

 

さて、裁判により刑が確定するまでは、無罪の扱いを受けるのが
刑法の常識です。
この場合、勾留されている社員はどのように扱う
べきでしょうか。

強いて言うなら「休職」ということになるのでしょう。
休職とは、「労働者に就労させることが不能または不適切な場合、
労働契約関係を存続させながら、就労を免除または禁止することです。

 

制度として、起訴休職制度を設けている会社もありますが、直ちに
「起訴=休職」と扱えない場合もあるだけでなく、有罪判決確定まで、
懲戒処分を猶予する内容であることが通常ですから、判決確定前に
懲戒処分をすることはできません。

ですが、
①社員が容疑を認めている場合

②社員の犯罪行為が強く疑われる現行犯または緊急逮捕による
逮捕の場合

③企業の信用維持の観点から処分が必要となる場合

…のように有罪判決確定を待たずに懲戒処分ができる場合も
あるように思われます。

 

 

本人が否認している場合などは、「その他会社が必要と認めた休職」
として扱い、上記のような例では、状況を正確に把握したところで
判断
するべきと考えます。ただ、私生活上の非行による懲戒処分
には難しい点もあります
ので、ご注意ください。

この点は就業規則上の規定方法も含めて専門家に相談された方が
よいでしょう。

 

レアなケースを長々と扱ったような気がしますが、少しでもお役に立て
たなら幸いです。

 

にほんブログ村 士業ブログへ
にほんブログ村

労基や労務問題からマイナンバーやSNS問題まで「こんな事聞いても大丈夫かな?」ちょっとでもそう思ったら、その悩みをお聞かせください。初回相談は無料です。