こんにちは。管理部支援.comの専田です。

 

社員が失踪した!?
そんなとき、会社はどのように対応したらよいかと
いう点をテーマに検討しています。

前回までは、社員が行方不明となってから
だいたい1週間程度の期間で会社の取るべき対応に
ついてみてみました。

 

社員の失踪が判明しても、
「しばらくは様子を見たい、見てもよい」という会社は
多いと思います。

しかし、いつまでもそのままというわけにはいかず、
事件性などの特異な状況や相応の理由がない限り、
人事管理上はどこかで「区切り」をつけなければ
ならないでしょう。

 

そこで、今回は、区切るととして、どのような方法が
あるか、また、それに必要な規程や具体的な手続きに
ついて検討してみたいと思います。

 

まずは、あなたの会社の就業規則が今回のような事態に
対応できるものであるかを確認してください。

特別の定めがある場合は、それに従って処理をするのが
原則です。(一般的に問題のある規定でなければの話です)

では、具体的な方法について検討していきます。

 

1.休職扱いとする方法
冒頭の「しばらく様子を見たい」という場合や前回少々触れた
ワケありの場合(何か返して欲しいモノがあるなど)、すぐに解雇
や退職として処理できないケースもあると思います。

就業規則の休職事由に「会社が必要と認めたとき」というような
規定があれば、これを根拠として休職扱いにする方法があると
思います。この場合、休職期間満了後に解雇・退職の処理を
するのが適切です。

具体的な流れとしては…
①失踪社員の所属長が人事部門に社員失踪の事実を報告
②人事責任者が休職発令
③休職期間の満了をもって退職の扱い
(この場合、病気休職などとは別に期間を定めた方がよい
でしょう)

また、繰り返しになりますが、事後にトラブルとならないように、
経緯がわかるように、書面による記録を残す必要があります。

会社に連絡はなくとも肉親と完全に連絡を絶つというケースは
そんなにありません
ので、肉親(家族)と信頼関係が築けれて
いれば時間はかかっても、解決が図れることもありますから、休職
とする処理は ソフトな解決を目指す場合は、有効かもしれません。

 

2.自然退職として処理する方法
相当の期間について無断欠勤が続き、会社と連絡が取れない、
行方不明であるとなれば、その社員の「働く意欲」を疑わざるを
得ません。

こうした場合、社員から黙示の退職の意思表示があったと判断
することも可能であると思われます。

もちろん、失踪前後の状況や行方不明となっている期間などを
考慮する必要はあります。

特に住居を引き払っている、私物が整理されている、
失踪を匂わせる
伝言や言動、書置き
があったということが
あれば、黙示の退職の意思があったとする判断はより妥当性を
補強するものになるでしょう。

なお、就業規則によっては、無断欠勤が一定期間続くと自動的
に退職として定めていることがあります。この場合、「一定期間」
が過ぎると退職ということになります。

ただ、この期間が短すぎると規定の合理性が疑われ
かねませんので、少なくとも2週間以上、できれば30日程度の
猶予は必要と思います。

 

3.解雇処分にする(懲戒解雇)
通常、長期の無断欠勤は、解雇・懲戒解雇事由に該当する
ものです。

しかし、解雇は、使用者側の一方的な労働契約解約
意思表示で、その効力は相手方の社員に到達した
ときに発生
します。本件の場合、相手は行方不明である
わけですから、意思が到達したと考えることはできません。

実務的には、内容証明郵便と特定記録郵便を併用した
出勤督促
を記録として残し、その他の記 録と合わせて
解雇処分とする方法がありますが、意思の到達ができない以上、
「公示送達」の方法をとるのが法的には正しい方法となります。

公示送達とは、失踪社員の住所地を管轄する簡易裁判所に
対して解雇の意思表示の送達を申し立てることです。
申し立てをおこなうと、その内容が裁判所の掲示板に掲示され、
さらに掲示されたことが官報に掲載されるか、市町村役場の
掲示板に掲示されます。

ただ、公示送達を行う場合、裁判所に対する費用の予納や
相手が行方不明であることの疎明資料(証明資料)が必要で
あり、費用も手間もかかります。 実際には郵送による対応で
問題とならないことの方が多いようです。

次に解雇・懲戒解雇とする場合は、解雇予告の問題が
あります。社員が失踪という本件のような場合であっても、
解雇である以上、労働基準法で定められている解雇予告
または解雇予告手当の原則は変わりません。

公示送達による場合、解雇の意思が相手方に到達したと
みなされた日から30日経過した日に解雇の効力が発生します。
また、即時に解雇する場合は、30日分以上の解雇予告手当を
原則として、意思表示と同時に支払うこととされています。

しかし、実務上でこんな手間をかけることはちょっと
考えられません。
実際には、労働基準監督署長から解雇予告
除外認定(労働者の責に帰すべき事由により解雇することの認定)
を受け、予告期間・手当支払いを経ずに即時の懲戒解雇処分と
なるでしょう。

「労働者の責に帰すべき事由」の例として、通達では、
「原則として、2週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、
出勤の督促に応じない場合」が挙げられています。
(昭23・11・11基発1637)

失踪社員の処遇について判断しなければならなくなったら、
これまでの対応記録と合わせて除外認定の申請も検討して
みてください。

 

本来、トラブルは相手のある話ですが、このようなケースでは、
肝心の相手と
連絡が取れないので、トラブルにならないとも
いえる反面、それがために対応に
苦慮することも確かです。

 

以上、実務上はどの方法を取るにしても様々な困難が生じる
ものと思いますが、社員の行方不明・音信不通について、
あらかじめ退職事由として就業規則に規定しておく
状況の推移を見守る必要がある場合なども考えて休職事由と
期間の規定について整備しておくとこのようなケースでも対応が
しやすくなると思います。

 

次回は、連絡が取れる場合、出社を拒否している場合について、
考えてみたいと思います。

 

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