こんにちは。管理部支援.com の専田です。

 

不意の残業で夜遅くなった時などに
「小腹が空いたなぁ」と思うことはありませんか?

大都市であれば、そばやラーメン、牛丼にカレーと
24時間365日年中無休でいつでも好きなモノを
食べることができる、今やそんな時代です。

消費者としては便利になりましたが、働く側は
なかなか大変です。昼夜の別も暦も関係なく
客が来ようと来るまいと、店は開けておかなくては
ならないのですから。

 

それに昼間はまだしも、夜間は色々な意味で大変です。
店舗の土地柄などにもよりますが、24時間営業の
店舗でトラブルが起きるのは、大抵が深夜帯

トラブルといっても、酒に酔ったお客が寝込んで
しまったというようなものから、人手も手薄な深夜帯に
売上を狙った強盗事件といった具合に様々です。

 

警備会社勤務時には日常茶飯事でしたが…

警備会社勤務時には日常茶飯事でしたが…(写真は筆者)

 

先週末、こうした24時間営業の飲食店で強盗事件の
発生が集中している、とある大手牛丼チェーン運営会社に
警察庁が異例ともいえる「防犯強化」を指導行ったとの
ニュースが報じられました。

このチェーン店の強盗被害、今年に入ってからの同業
全体の発生件数の9割を占めるという、ちょっと異常な
までに高い割合だったようです。

 

被害がお金だけで済めばいいのですが、業務中の
犯罪被害で社員が負傷ないし、死亡してしまった場合、
会社はどのような立場に立たされるのでしょうか?

「会社も被害者だ!」との見方が普通かも知れません。
しかし、社員に対する「安全配慮義務違反」を問われ
損害賠償責任を負うこともあり得るのです。

 

この安全配慮義務とは、どのようなものでしょうか?
要約すると「使用者が労働者の生命、身体等の安全を
確保しつつ労働することができるように配慮する義務」
のことで、労働契約法に定められているものです。

ちなみに、安全配慮義務は、判例の中で認められてきた
考え方ですが、平成19年に制定された労働契約法の
第5条として、明文化されたという経緯があります。

最近では、メンタルヘルス問題の要素としても検討
されることが増えてきていますが、”強盗事件”の
ように勤務中の社員の犯罪被害に対しても認められる
こともあるのです。

 

勤務中の社員の犯罪被害に関し、会社の責任を認めた例として、
宿直勤務中の社員が盗賊に殺害された事件で会社に
安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めた判例
があります。(「川義事件」最三小判昭和59年4月10日)

昔は、現在のような警備会社によるサービスは一般的ではなく、
社屋等の防犯・防災のために夜間・休日に社員を交替で泊らせる
「宿直」が普通に行われていました。判例の事件は、この宿直中の
社員が犠牲になってしまったものです。

 

判決では、この事件における安全配慮義務の具体的内容
について次のように示しています。

①盗賊が容易に侵入できない物的設備を施すこと

②侵入した盗賊から加えられるかもしれない危害を
免れることができるような物的設備を設けること

③これらが困難であれば、宿直員の増員や安全教育を
十分に行うこと

先に挙げた24時間営業の飲食店の例でいえば、②と③が
重視されることになるでしょうか?

生き馬の目を抜くといわれるような熾烈な競争を強いられる
外食産業では、防犯対策も大きな負担になりかねません。
しかし、店員に万一のことがあれば、安全配慮義務違反
というもう一つの大きな問題を抱えることになりかねない
のです。 

もちろん職種や業務の内容、就業の場所などにより、
安全配慮義務の具体的な内容は変わってきます。

 

「労働者の生命、身体等の安全」というと普通は、過重労働や
メンタルヘルス、作業設備の不備やミスにより生じる労働災害を
想像しがちですが、防犯も含む考えであることに注意して
いただきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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