こんにちは。管理部支援.comの専田です。

労働基準法で定める「過半数労働者」、一般的には
「社員代表・従業員代表」と呼ばれる労使協定等の
労働者側代表の選出のあり方について検討しております。

 

この手続きについては、実質的に会社が「選挙事務局」
となることの負担もさることながら、
「どこまでやればいいのか?」
という実務上の不安や疑問も少なくないと思います。

今回は、一通りのまとめとして、選出手続きにあたっての
疑問点などについて検討してみたいと思います。

 

Q1: 社員代表に「休職中の社員」から立候補の
申し出がありましたが、
拒んでもよいでしょうか?

A1: 結論から言うと拒めません。
これについては、次のような通達があります。

「・・・当該事業場の過半数労働者は、法第9条でいう
労働者であって、例えば、法第41条第2号の規程に
該当する者、病欠、出張、休職期間中の者も含まれる。
(昭46.1.18 基収6206、昭63.3.14基発150、
平11.3.31基発168号)

つまり、労働基準法の第9条で定める、「職業の種類を
問わず、
事業又は事務所に使用される者で、賃金を
支払われる者」
に該当すれば、過半数労働者の算定
には含めなくてはなりません。

 

よって、その事業場に所属すれば、アルバイトなどの
雇用形態や出向、休職中などの状態も関係なく
社員代表となることも選ぶこともできます。

労働基準法第41条第2号でいう、「管理監督者」に
該当する従業員の場合は、労働者としての要素が
あれば、
代表にはなれませんが、「選ぶ権利
(投票権)」は
ある
ことに注意が必要です。

 

Q2 会社とトラブルになっている者から立候補の
申し出があったの
ですが、拒否してもよいでしょうか?

A2 これも、前項と同様に拒むことはできません。
会社をどう思おうと、それは「労働者の要件」という点には
関係がなく、あったとしても、それは「労使関係の問題」と
いうことになります。

しかしながら、「常識的にそれはどうなの?」という
場合もあると思います。

例えば、会社と「労働トラブル」で係争中というような
場合はどうでしょう?

Q1のように法の定めでは、拒めないことになりますが、
このような場合、本当に「社員代表」として公明正大な
職務執行が期待できるのでしょうか?

このような争いの関係にあるような場合は、仮に推挙
されても辞退するのが通常だと思います。

しかし、立候補を強行した場合はどうなるか?
会社としては、立候補を拒むことについて、一定の
「主張」ができる可能性もあるかもしれません。

それでも社員代表としての職務を巡り、また、社員代表と
なろうとしたことを以って「不利益な取り扱い」をすることは、
法令で禁じられていますので、注意してください。
(労基法施行規則6条の2第3項)。

いずれにせよ、立候補を拒むことは、非常にリスキーです。
個人的には、「立候補拒否」以外の対応策を検討するべきと
思います。

 

Q3: 「社員代表」の任期は、どの程度の期間とする
べきでしょうか?

A3 法令上、明確な規定はありません。
つまり、制限はありません。しかし、実務上は、「36協定の
有効期間は、1年間とすることが望ましい」とする通達※
にならい、「従業員代表」の任期も1年間とすることが
ほとんどです。
※ (平11.3.31 基発169号)

1年間を超える任期を設定する場合、任期について社員と
予め話し合い、
取り決めておく方法があると思います。
ただ、その場合であっても、あまり長期の任期は好ましく
ありません。(長くても3年以内くらいでしょうか?)

 

Q4: 社員が一同に会する機会がほぼ皆無です。
   どうしたらよいでしょうか?

A4 前回触れましたが郵送などの方法で行っては、
いかがでしょうか?公職選挙でいう、「不在者投票」が参考
になると思います。
※「不在者投票制度」については、こちら(総務省HP

方法としては、FAXや郵送による方法があるとおもいますが、
電子メールによる投票も可能だと思います。投票期間を
設定して、この期間内に選出事務の担当者宛に「投票」を
メールで行ってもらってはいかがでしょうか?

 

Q5: 「社員代表」の選出も公職選挙と同じような
「秘密投票」と
しなければならないのでしょうか?
手続きが大がかりになると
煩雑で困るのですが…。

A5: 結論から言いますと、「社員代表」の選出に
ついては、「民主的である」必要がありますが、
法令で具体的な方法が規定されているわけではありません。
ですから、公職選挙のような「秘密投票」としなければ
ならない理由もありません。

そもそも、「秘密投票」とは、誰が誰に投票したのか、
投票の内容について「非公開」を保証する投票方法です。
投票の秘密が守られないと「投票先の指図」や「脅迫や
強要」などの不正が可能となるからです。

公職の選挙では、憲法でも保障されている大原則
ですが、一企業の従業員代表選出で要件となるもの
ではありません。

しかし、労使の関係でデリケートな判断が求められる
時期
であったり、労使のトラブルから、代表の
「出直し選出」
であったりする場合は、可能な限り、
客観的に民主的と判断できる手続きとした方が
無難
あると思います。

 

最後に、
繰り返しになりますが、社員代表の要件や選出方法に
ついては、法令で具体的に規定されているわけでは
ありません。

しかし、労使関係の基礎に当たるものですから、可能な
限り丁寧な対応を心掛ける必要があると思います。

実際にはいろいろな疑問が出てきますが、実務上は、
厚生労働省の「通達」などを元に解釈が行われて
いることにご注意ください。

 

まだまだ、取扱いたい事項はありますが、ひとまずこの問題に
ついての検討を終えたいと思います。

最後までお読みいただき、何らかの形であなたのお役に立てた
なら幸いです。

 

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