賠償請求!?

こんにちは。
管理部支援.comの専田です。

アルバイトについて、前回は…

◆アルバイトとは、学業や本業のかたわら、収入を得るための
 仕事をすること。

◆本業があるから、働く側も雇う側もちょっといい加減なところが
 ある。

◆アルバイトとは、俗称に過ぎず、労災はもちろん一定の要件を
 満たせば、社会保険の加入や有給休暇付与の対象にもなる。
 (アルバイトは”対象外”というのは誤り)

という点を整理してみました。

世間一般でいわれる概念的な異論はあるかもしれませんが、アルバイトを
取り巻くニュアンスについては、実体験に基づくところもありますので、
そんなに的外れではないかと思います。

前回「アルバイトに責任を問うのは酷ではないか?」という意見を紹介
しましたが、これもアルバイトは本業ではない、臨時的、補助的業務に
限られる、賃金が安いなど、アルバイトの特性によるところが大きい
ものと思います。

では、アルバイトが業務の過程で過失により事故を起こし、お客様など
の第三者に被害を与えてしまったとして、アルバイトは責任を問われる
のでしょうか。また、問われるとしたらどの程度の責任が問われるの
でしょうか。

 

まず、責任についてですが、当然「問われる」ことになります。
ただ、アルバイト側の過失なども考慮されることになりますが。

逆の見方をすれば、アルバイトだからといって責任を問われることがない
というのはおかしな話です。では、どんな責任が問われるのでしょうか。

業務の内容にもよりますが、例えば車の運転などが伴うようであれば、
業務上過失致死傷罪(自動車運転過失致死傷罪)などの刑法上の責任を
問われ、免許停止などの行政処分がアルバイト個人に科されるのは当然
のことです。

次に民事上の責任です。
これは、平たくいうと被害者に対する損害賠償責任です。

通常は、アルバイト個人が被害者から賠償請求されることはないでしょう。
請求額が大きければ、アルバイトに限らず、労働者個人では責任を負いきれ
ませんから、連帯して会社が責任を負う、または最初から会社に賠償請求が
なされることになるのが通常であると思います。

 

このように会社が代わって被害者に賠償した場合、
会社としては、アルバイトに賠償額を請求したいところですが、これは可能
なのでしょうか。

労働者が業務を遂行する中で会社に損害を与えた場合について、労働関係法令で
特別の規定は設けられていません。なので、基本的には、会社が被った損害
(この場合、賠償額)について、アルバイトに弁済を求めることは可能です。

ただし、求められる損害の割合については、制限があります。
たとえアルバイトが重過失であったとしても、全額弁済を求めるのはムリ
いってよいかと思います。

理由は先の「会社が責任を負う、会社に賠償請求がなされる」というケースで
民法上の使用者責任(民法第715条)をはじめとした規定・考え方が影響する
からです。

これは、「報償責任の法理」といい、「会社は労働者を使用することで自己の
活動範囲を拡大し、多くの利益を収めているのであるから、会社の事業に伴って
生じる損害については、使用者が負担するのが公平」という考え方です。

判例でも労働者に対しては「…損害の公平な分担という見地から信義則上相当と
認められる限度において、求償の請求をすべきである」
(茨城石炭商事事件 最高裁判昭和51.7.8)と判示されています。

まとめますと、判例(裁判例)では、軽過失事例で損害の0~約30%の範囲で、
重過失事例で損害の50~約70%の間で労働者の賠償責任を認めるものが多い
ようです。

更に、判例(裁判例)では、労働者の勤務成績、労働条件・環境、事業組織、
指揮命令の態様、事故の予防措置なども考慮されるとしています。
ですから、軽過失なら30%まで請求してよいというわけでは必ずしもありません
のでご注意ください。

なお、これらの考え方はアルバイトに限らず、正社員をはじめとした労働者
全般に当てはまるものです。以上、アルバイトの有責性と求償額の限界について
検討してみました。

 

アルバイトであれ、正社員であれ、雇う側(会社)からすれば、責任のある業務に
就かせるには、身元がきちんとした人でないと困ります。しかし、特にアルバイトの
場合、求人広告費以上をはじめコストはできるだけ抑えたいという気持ちが働くのが
常だと思います。

これらを踏まえて考えると、アルバイトが会社として思わず弁償を求めたくなる、
責任を問いたくなるような業務に就くことはそもそも問題があるのかもしれません。

ただ、事業を行う上で大小問わず、事故というのは起こり得るものです。
簡易な方法で採用されるアルバイトだからこそ、そのあり方について、
今一度見直してみる必要があるのではないでしょうか。

次回は、弁済の受け方など実務的な対応について検討したいと思います。

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